SL銀河

SL銀河撮影の旅に出かけてきました。場所は岩手県遠野市宮森にあるめがね橋です。大正4年11月に開通した岩手軽便鉄道(現在のJR釜石線)は、宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」のモチーフになったことで有名です。特にここ「めがね橋」は、汽笛を鳴らしながら煙をもくもくと噴き上げ、登り勾配を駆け上がっていく姿が、まさに銀河鉄道を彷彿とさせることから、ファンの間でも、とみに有名な撮影スポットとなっています。この日も20人ほどのファンが早くから場所取りをして、11時39分に一番近い宮森駅を発車するSL銀河を待ち受けます。当日は朝から生憎の雨でしたが、10時半すぎにはいったん晴れ間がでて青空をのぞむことができるほどでした。「あぁ、今日はいい画が取れるぞ」と、ホッとしたのもつかの間、11時をすぎた頃からまたしても雨が降り出し、一時は土砂降りの雨となります。ところが驚いたことに11時半をまわると急に勢いが弱まり、遠くに汽笛が聞こえ始めたころには、すっかり小雨になったのです。あーっ、これが「銀河鉄道の夜」の中で賢治が言っていた「さいわい(幸い)」というものかもしれないと、その時深く思いました。

そしてついにSL銀河が姿を現します。「うわー---!!」 100人ほどに膨れ上がったファンの間から大きな歓声が上がりました。ブオッ、ブオッ、ブオッ、ピュヨーーーッ、ブオッ、ブオッ、ブオッと蒸気機関の迫力ある轟音と鳴り響く汽笛の音に見るもの誰もが圧倒されます。そしてその景色が何とも言えずにロマンチックなのです。その姿は御覧の通り、まさに天空に駆け上っていく銀河鉄道のようではありませんか。列車の窓から手を振る乗客に、それはまるで「銀河鉄道の夜」の中のジョバンニとカンパネルラに向かって手を振るかのように、こちらも大きく手を振って応えます。

SL銀河は目の前に現れてからすっかり姿を消すまで、わずかに48秒。夢のような時間は、あっという間に過ぎ去ったのでした。それでも、見守ったすべての人にとってその姿は、いつまでもいつまでも心の中の記憶に残る事だろうと思います。

めがね橋を駆け上るSL銀河
遠野駅で一休みのSL銀河