「みちのく」も、秋がまっ盛り

暑かった夏も、あっという間に過ぎ去り、「みちのく」は今が秋真っ盛りです。先日、仙台の友人が泊りがけでやってきました。定番の中尊寺・毛越寺はもちろん、達谷窟(たっこくのいわや)に厳美渓、足を延ばして骨寺村を案内して回りました。写真は達谷窟に向かう途中の田園風景です。この地方独特の稲の乾燥方法が御覧の通りの「ほんにょ」によるもの。稲の束を360度にぐるりと回しこむように積み上げてあります。

ほんにょの行列

達谷窟・西光寺にヒガンバナが咲いていました。別名・曼殊沙華。むかし、大和の山野辺(やまのべ)の道を歩いた時に、曼殊沙華の群生を見たことがあります。里山の中にひろがる一団の真っ赤な群生を見た時に、思わず背筋が寒くなったことを覚えています。秋を知らせる「真っ赤な」のこの花は、美しくもありながら、なぜか不吉な雰囲気を持つ・・・、わたしにとってはちょっと怖い感じのする特別な花です。

達谷の里のヒガンバナ

田園の風情を感じさせてくれる太田川。真っ青な秋の空をうつした小川の色に見惚れて、思わずシャッターを切ってしまいました。

達谷の里を流れる太田川

優に1トンは超えるであろう大きな石に「金華山」の文字が・・・。「湯殿山」の石仏とともに、街道沿いに数多く鎮座する「金華山」の石仏。『昔の人はいったいどうやって、こんな重いものをここまで運んできたのだろう』と、いつもながら不思議に思ってしまいます。それでも、昔の人々が大変な苦労をしながらも、信仰の証として建立せずにはおられなかったであろう石仏。凶作、飢饉、そして一揆・・・。神仏に祈るしかなかった「過酷な時代」がかつてあったことを、今の世に伝えてくれています。

石仏

久しぶりに食べて帰ろうと寄った厳美渓のかっこう団子ですが、この日もたくさんの観光客で大賑わい。当分順番が回ってきそうもありません。篭にお金を入れて分厚い大きな板を木槌で「カ~ン」と一つたたくと、うえでおじさんが篭を引き揚げます。しばらくたつとスルスルスルっと、団子を乗せた篭が空中を飛ぶように降りてきます。見ているだけでもけっこう楽しい仕掛けです。6組ほどのあと10分あまり待って、ようやくやってきた団子は、餡・ゴマ・みたらしの三色団子でした。

厳美渓名物 かっこう団子

巨岩・奇岩のあいだを流れくだる渓流の眺めは見事です。いにしえの昔、頼朝も義経も堪能したみちのくの絶景です。

厳美渓